異字同訓
このコンテンツは、間違いやすい「異字同訓」の使い分けの用例を示したものです。
※文化庁の『「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)』を参考にしています。
ない(無亡)
- 【亡い】死んでこの世にいない。
- 今は亡い人。友人が亡くなる。亡き父をしのぶ。
- 【無い*】(⇔有る・在る)。存在しない。所有していない。
- 有ること無いこと言い触らす。無くて七癖。無い袖は振れぬ。無い物ねだり。
- *「今日は授業がない」「時間がない」「金がない」などの「ない」は、漢字で書く場合、「無」を当てるが、現在の表記実態としては、仮名書きの「ない」が一般的である。
なおす(直治)
- 【治す】病気やけがから回復する。
- 風邪を治す。けがが治る。傷を治す。治りにくい病気。
- 【直す】正しい状態に戻す。置き換える。
- 誤りを直す。機械を直す。服装を直す。故障を直す。ゆがみが直る。仮名を漢字に直す。
なおる(直治)
- 【治る】病気やけがから回復する。
- 風邪を治す。けがが治る。傷を治す。治りにくい病気。
- 【直る】正しい状態に戻す。置き換える。
- 誤りを直す。機械を直す。服装を直す。故障を直す。ゆがみが直る。仮名を漢字に直す。
なか(中仲)
- 【中】(⇔外)。ある範囲や状況の内側。中間。
- 箱の中。家の中。クラスの中で一番足が速い。嵐の中を帰る。両者の中に入る。
- 【仲】人と人との関係。
- 仲がいい。仲を取り持つ。仲たがいする。話し合って仲直りする。犬猿の仲。
ながい(長永)
- 【永い】永久・永遠と感じられるくらい続くさま。
- 永い眠りに就く。永の別れ。永くその名を残す。永のいとまを告げる。末永(長)く契る*。
- 【長い】(⇔短い)。距離や時間などの間隔が大きい。
- 長い髪の毛。長い道。長い年月。気が長い。枝が長く伸びる。長続きする。長い目で見る。
- *時間の長短に関しては、客観的に計れる「長い」に対して、「永い」は主観的な思いを込めて使われることが多い。「末ながく契る」は、その契りが「永久・永遠と感じられるくらい続く」ようにという意で「永」を当てるが、客観的な時間の長さという視点から捉えて、「長」を当てることもできる。
ならう(習倣)
- 【倣う】手本としてまねる。
- 前例に倣う。西洋に倣った法制度。先人のひそみに倣う。右へ倣え。
- 【習う】教わる。繰り返して身に付ける。
- 先生にピアノを習う。英語を習う。習い覚えた技術。習い性となる。見習う。
におい(匂臭)
- 【匂い】主に良いにおい。
- 梅の花の匂い。
- 【臭い】主に不快なにおいや好ましくないにおい。
- 魚の腐った臭い。
におう(匂臭)
- 【匂う】主に良いにおい。
- 香水がほのかに匂う。
- 【臭う】主に不快なにおいや好ましくないにおい。
- 生ごみが臭う。ガスが臭う。
のせる(乗載)
- 【乗せる】乗り物に乗る。運ばれる。応じる。だます。勢い付く。
- タクシーに乗せて帰す。電波に乗せる。口車に乗せられる。
- 【載せる】積む。上に置く。掲載する。
- 自動車に荷物を載せる。棚に本を載せる。雑誌に広告を載せる。
のぞむ(望臨)
- 【望む】遠くを眺める。希望する。
- 山頂から富士を望む。世界の平和を望む。自重を望む。多くは望まない。
- 【臨む】面する。参加する。対する。
- 海に臨む部屋。式典に臨む。試合に臨む。厳罰をもって臨む。難局に臨む。
のばす(伸延)
- 【伸ばす】まっすぐする。増す。そのものが長くなる。差し出す。
- 手足を伸ばす。旅先で羽を伸ばす。勢力を伸ばす。
- 【延ばす】遅らす。つながって長くなる。重複も認め合計する。広げる。
- 出発を延ばす。開会を延ばす。
のびる(伸延)
- 【伸びる】まっすぐする。増す。そのものが長くなる。差し出す。
- 伸び伸びと育つ。輸出が伸びる。学力が伸びる。草が伸びる。身長が伸びる。
- 【延びる】遅らす。つながって長くなる。重複も認め合計する。広げる。
- 支払いが延び延びになる。地下鉄が郊外まで延びる。寿命が延びる。終了時間が予定より10分延びた。
のべる(伸延)
- 【伸べる】まっすぐする。増す。そのものが長くなる。差し出す。
- 救いの手を差し伸べる。
- 【延べる】遅らす。つながって長くなる。重複も認め合計する。広げる。
- 延べ1万人の観客。金の延べ棒。
のぼる(上登昇)
- 【上る】(⇔下る)。上方に向かう。達する。取り上げられる。
- 階段を上る。坂を上る*。川を上る。出世コースを上る。上り列車。損害が1億円に上る。話題に上る。うわさに上る。食卓に上る。
- 【昇る】(⇔降りる・沈む)。一気に高く上がる。
- エレベーターで昇る*。日が昇(上)る*。天に昇(上)る*。高い位に昇る。
- 【登る】自らの力で高い所へと移動する。
- 山に登る。木に登る。演壇に登る。崖をよじ登る*。富士山の登り口。
- *「坂を上る」「崖をよじ登る」「エレベーターで昇る」の「上る」「登る」「昇る」は、「上の方向に移動する」という意では共通している。この意で使う「上る」は広く一般に用いるが、「登る」は急坂や山道などを一歩一歩確実に上がっていく様子、「昇る」は一気に上がっていく様子を表すのに用いることが多い。また、「日がのぼる」「天にのぼる」の「のぼる」に「昇」と「上」のどちらも当てることができるのは、このような捉え方に基づくものである。
なお、ケーブルカーなどで山にのぼる場合にも「登」を当てるのは、「登山」という語との関係やケーブルカーなどを自らの足に代わるものとして捉えた見方による。
のる(乗載)
- 【乗る】乗り物に乗る。運ばれる。応じる。だます。勢い付く。
- バスに乗る。電車に乗って行く。風に乗って飛ぶ。時流に乗る。相談に乗る。図に乗る。
- 【載る】積む。上に置く。掲載する。
- 机に載っている本。新聞に載った事件。名簿に載る。